雨はまだ少し降っている。
パンにトマト、ハム、チーズを挟んで朝食にする。
このキャンプ場にボクを含めて3張り有ったテントは一斉に仕舞われた。
ボクも荷物をまとめて管理棟へ。
だけどボクは一番のフェリーで礼文島を出るワケではない。
昨日はフェリーが欠航したから停泊したのではなく、
歩くには天気が悪いからテントに籠っていただけだ。
今日は島の南側を歩こうと思う。
一昨日歩いた道を辿って宇遠内分岐点へ。
そこから今日は礼文林道に入って行く。
今までは自分がどの位歩けるのか全く分かっていなかった。
持久力も脚力も人並み以下だと思っていた。
しかし一昨日歩いて少し自信が持てた。とは言えその自信は慢心につながる。
ボクはケナされると凹み、誉められるとツケ上がる、最も成長しないタイプなのだ。
歩幅は小さく力を抜いて歩こうと思うのだが、「自分は歩ける!」という気持ちが勝ってしまう。「抑えろ抑えろ」と言い聞かせながら歩く。調子に乗ってはいけない。
現に一昨日の終盤から痛み出した右膝がかなり怪しい。登りはまだ良いが下りが辛い。
礼文林道の登りと下りを経て礼文滝分岐点に出ると視界が拓ける。
しかし霧が出ていて遠くの景色は見渡せない。
礼文滝を見たければココから往復2時間半の寄り道をして海まで降りなければならない。
礼文滝は諦めてそのまま南下。キャンプ場を出て1時間半でレンジャーハウスに着く。
ちょうどこの西側の海岸に地蔵岩が有るはずだが見えない。
ボクは礼文島に来て、地蔵岩を見たことがない…。
この辺りはレブンウスユキソウの群生地だが、時期が遅くて咲いていない…
礼文林道終点から一度舗装道路を経て桃岩登山口へ。
いよいよ右膝の痛みが苦しくなってきた。下りだけでなく登りでも痛みが出る。
桃岩展望台までの急登を黙々と進む。
もう膝が限界だ!元地灯台で休憩。
右膝にタイツの上からテーピングを貼る。多少は楽になったが、
ココから知床までの下りも侮れない。
黙々と足を運んで出発から3時間で桃岩展望コースの知床口に到着。
知床には出ずに「北のカナリアパーク」に向かう。
あれ?「北のカナリア」って何だっけ?
話題になってたのは知ってるけどボク観てないぞ。ドラマ?映画?
礼文島が舞台だったんだ!観てもないのに来てしまった…。
でもまぁ、一応記念撮影。純と蛍と正吉はどこだ?
帰ったら観てみよう!「北のカナリア」。
そのまま差閉に向かって歩き出すが、「待て待て!なんで知床に行かない?」
今こうして足を引きずりながら歩いているのはそもそも知床が発端じゃないか!
一昨日と今日で礼文島を西側経由で縦断した。
23年前とはコースは違うし、半周を2日に分けて歩いている。
そもそも1周してないから「24時間コース」のリベンジでもなんでもない。
ただ自分なりに23年前の続きを歩きたかっただけだ。
そしてもう無いとは分かっているけど「岬しれとこ」の有った場所に行って、
あの時フェリーのデッキから「また来るよー!」と叫んだ約束を果たしたい。
いや、果たした事にして欲しい。
「今回は膝が痛いから、また今度ユックリ来ようね!」なんて簡単に言える場所じゃない!
「北のカナリアパーク」から知床に出て、海沿いの道を西へ。
その場に行けば「あーココ!ココ!懐かしい~!」となるだろう、と思っていたが、
記憶もかなり曖昧で、実際はどの家も同じように見えて、
どこが「岬しれとこ」だったのか全く分からない。
しかし近所の人に聞いて建物はまだ有ることを知り、
なんと!当時、宿泊客から「ママさん」と呼ばれていたおかみさんにも会うことができた!
予想していなかった展開だけど、これでボクの23年間のモヤモヤともお別れだ!ここからバスで香深、さらにバスを乗り継いで香深井へと帰るつもりだったが、
バスの時間まで30分ある。
途中でバスに抜かれるようなら手を上げて止まってもらえば良いので歩くことにする。
結局バスには抜かれずに、ちょうど昼に香深。そして次のバスまで3時間…。
ウニ丼を食べたいが、ここ数日のシケでどこもウニは入っていないらしい。
ボクは礼文島のウニ丼を食べたことがない…。
土産屋をひやかして定食屋で豚丼を食べてもまだ1時間しか経っていない。
フェリーターミナルのロッカーに荷物を入れて、
財布とカメラだけ持ってキャンプ場まで歩くことにする。
そして出航。今はもう盛大な見送りの人も居ない。
さようなら礼文島!また来るかもね!
それにしても礼文島を出る時、ボクはいつも足を引きずっている…。
島が遠ざかるとやっぱり少し寂しい…。
さぁ!次は利尻島だ!
客室でカステーラを食べてくつろいでいるうちに利尻島、鴛泊港に到着。
下船後すぐに自転車を組んで、鴛泊に近い「ゆ~にキャンプ場」を目指す。
荷物が重くて登りがキツイ…。
キャンプ場の目の前に温泉は有るが、もう面倒になってしまった。
もともとあまり風呂には興味が無い。
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